ニューヨークでオーディションを受けるために
ニューヨークでミュージカルアクターとして活動するために必ず持っていないといけないもの、それはレジュメ、ヘッドショット、オーディションブック(ソングブック)です。
この3つが揃わないとニューヨークでオーディションを受けることはできません。
また、それぞれを作成するに当たり、守らなければいけない細かい基準(常識)があります。
この基準(常識)を知らずに作ったレジュメやヘッドショットをオーディションで提出してしまうと、キャスティングディレクターに良い印象を残すことはできません。
以上を踏まえ、この記事では、以下の内容について書いていきます。
1 レジュメ、ヘッドショット、オーディションブックの概要
2 レジュメとヘッドショットを作成する際のポイントと注意点
この記事は以下の方を対象に書いています。
1 これからニューヨークでオーディションを受けていきたいと思っている方
2 自分の使っているレジュメやヘッドショットが基準を満たしているか改めて確認したい方
目次
オーディション必需品3点セット
ここでは、ニューヨークでミュージカルのオーディションを受けるために絶対に必要なものをリストアップし、それについて簡単に説明していきます。
レジュメ(Resume)
レジュメは、自分のプロフィール、クレジット(これまでの出演作品)、トレーニング歴、特技を1枚の紙にまとめたものです。
紙のサイズは、横8× 縦10(inches)にします。
通常のコピー用紙は8.5×11なので、印刷後に余白のいらない部分をカッターなどで切り取り、8×10の大きさにします。
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レジュメ記入事項
プロフィール
名前の下に必ず、自分の電話番号とメールアドレスを記載しておきましょう。
その他、エージェント名(エージェント契約をしている場合)、身体的な情報(身長、体重、紙の色、目の色、声のタイプなど)を、レジュメの最も上の部分にまとめておきます。
クレジット(出演作品)
クレジットは作品名、役名、カンパニー名(プロダクション名)を左から順に書きます。
トレーニング
トレーニングは、自分が卒業した学校名やプログラム名(演劇、ダンス、歌に関するもの)、師事した先生の名前を記載します。
スペシャルスキル(特技)
自分が持っている特技で、舞台上で使えそうなものは何でも記載しておきます。
ヘッドショット(Headshot)
ヘッドショットは、オーディションの際にレジュメと合わせて提出する、胸から上の写真です。
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ヘッドショットの形式
色:カラー(白黒はNG)
サイズ:8×10インチ
向き:縦向き
横向きでもOKですが、レジュメの向きに揃えておいた方が見やすいです。
名前:下部に入れる
名前を入れない形式もありますが、最近は名前を入れる形式が主流です。
→名前を入れる場合は、外側に白い余白を残し、写真と余白の境界線を黒く縁取りして、余白の部分に名前を入れる形式が主流です。(印刷会社に依頼する際にレイアウトを尋ねられるので、そこでこの形式を選択すればOKです。)
ヘッドショットはアーティストの印象を左右するとても大切な写真です。
そのため撮影、印刷はプロのカメラマン、印刷会社に依頼しましょう。
オーディションブック(Audition Book)
オーディションブック(ソングブック)とは、オーディションで歌うための曲を1冊のバインダーにまとめたものです。
ミュージカルのオーディションには、このオーディションブックを必ず持っていきます。
オーディションでは、この中から1つをピックアップして歌います。
*1曲まるまる歌うわけではありません。曲中から抜粋した16小節(もしくは32小節)のみを歌います。
オーディションによって求められる曲のジャンルが違うので、オーディションブックには様々なジャンルのミュージカルナンバーを準備しておかなくてはありません。
オーディションブックについて詳しく知りたい方はコチラ
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レジュメ&ヘッドショット作成のポイント
ここからは、レジュメとヘッドショットに焦点を絞り、それぞれのポイントや注意点を解説していきたいと思います。
レジュメとヘッドショットは、オーディションにおいて、あなたの分身と言っても過言ではありません。
あなたのことを全く知らないキャスティングディレクターからすれば、レジュメはあなたに関する情報の大部分であり、ヘッドショットはあなたの印象を大きく左右します。
もし、レジュメがきちんとまとめられていなかったり、ヘッドショットの質が悪ければ、オーディション後にキャスティングディレクターに残るあなたの印象は、決して良くはありません。
そのため、レジュメとヘッドショットを軽視せず、その質を最大限高めていくことも俳優の仕事の一部と言えるでしょう。
レジュメ作成のポイント
とにかく見やすく、綺麗にまとめる
綺麗にまとめてあった方が、ディレクターに見てもらいやすいというメリットがあります。
またレジュメが見づらいと、単純に印象が良くありません。
オーディションの主催者は、オーディション参加者のレジュメ全てに目を通します。
そうするとレジュメの質も、必然的に他の俳優と比較されてしまいます。
「これは自分のレジュメです」と自信を持って言えるくらい、しっかりと作っておきましょう。
クレジットは重要なものを上から並べる
ディレクターやキャスティングディレクターは、1日に何人もオーディションに来る俳優たちをチェックしているので、自分のレジュメを隅から隅まで確認することができません。
そのため、作品の知名度、カンパニーの知名度、役柄などを考慮した上で、自分が一番見てもらいたいクレジットを上の方に記載しておくことが大切です。
ヘッドショット作成のポイント
メイクは必要?髪型・服装は?
大切なことは、ヘッドショットの写真と本来の自分との間にギャップが無いことです。
女性は軽いナチュラルなメイクを心掛けましょう。
男性の場合は、薄くファンデーションだけするか、もしくはメイク無しでも大丈夫です。
髪型や服装も特別なものにするのではなく、普段の自分と同じで構いません。
髪が乱れていたり、服にしわが寄っていたりすることはないように気をつけましょう。
プロのカメラマンに撮ってもらう
ヘッドショットは、自分の印象を大きく左右します。
必ずプロのカメラマンを雇い、質の高いヘッドショットを撮ってもらうようにしましょう。
カメラマンの選び方
ニューヨークにはオーディション用ヘッドショットを専門的に撮っているフォトグラファーが多くいます。
彼らが撮ったサンプル写真を見比べて、経験豊富なカメラマンを選びましょう。
お金の話
ちゃんとしたHeadashotをとるためには、少なくとも300ドル程掛かると考えておいた方がいいでしょう。
「高い!!」と驚く方もいると思いますが、カメラマンによっては700〜1000ドル掛かることもあります。
500ドル以上するような高いカメラマンを雇って、手の込んだヘッドショットを取る必要はないと思います。
ただ、少ない予算のヘッドショットが他の俳優と比べ見劣りしてしまうよりは、シンプルで構わないので、きちんとしたヘッドショットを持っておいた方がいいと思います。その場合の予算としては300〜350ドル程でしょうか。
また設定された金額の中で、どのようなサービスが含まれているかも確認しましょう。
ヘッドショット以外の写真(全身写真など)の撮影
撮影後の画像編集・修正(retouching)
この辺りのサービスは確認しておきたいですね。
また、画像データの受け渡し方法についても確認しておきましょう。
印刷も業者に頼んで行う
アメリカにはヘッドショットの印刷を専門的に取り扱っている印刷会社が多くあります。
このような印刷会社では、最終的な画像の修正や、写真下部への名前の挿入など、クライアントの意向に添いつつ、オーディションで求められる形式に仕上げてくれます。
きちんとしたヘッドショットを手にするために、印刷は専門の業者にお願いしましょう。
ここでは2つだけ印刷業者を紹介しておきます。
店舗はニューヨーク市内にあり、受け取りは基本的に店舗でのピックアップのみ。(オンラインでのオーダーは可能)
オンラインでのオーダー、郵送での受け取りが可能。50枚の印刷で45ドルと値段がリーズナブル。
注意ポイント
印刷の際に、紙のタイプ(Matte/Luster/Grossy)を選ぶことができます。
オーディション用のヘッドショットではMatteかLusterが一般的なようなので、そのどちらかを選ぶようにしましょう。
完成したレジュメとヘッドショットを1つにする
レジュメとヘッドショットの両方が完成したら、その裏同士を合わせ、4隅をホチキスで止めます。
ホチキスは斜めにならないように、縦か横に統一して止めます。
また、ホチキスの先の部分がレジュメ側、平らな部分がヘッドショット側になるように止めます。
注意ポイント
オーディションによっては、レジュメとヘッドショットを別々で提出するように指示されることもあります。
このような場合に備えて、レジュメとヘッドショットが完成したら、5セット程ホチキスで止めたものを作っておき、残りはその都度必要に応じて止めるようにしましょう。
まとめ
レジュメ
大きさ:8×10インチ
記入事項:
プロフィール(電話番号、Eメールアドレス、身長、体重など)
クレジット(過去の出演作品)
トレーニング(学校名、コース名、先生の名前)
特技
ポイント
1 できるだけシンプルで見やすいデザインを心掛ける
2 クレジットはキャスティングディレクターに見て欲しい重要なものから順に並べる
ヘッドショット
大きさ:8×10インチ
形式:周囲に余白を設け、そこに名前を入れる形式が主流
紙の種類:MutteかLusterで印刷する
ポイント
経験豊富なカメラマンに撮影を依頼する
ヘッドショットの印刷を専門に行っている印刷業者に、印刷を依頼する
完成したレジュメとヘッドショットの裏同士をホチキスで止める
止め方:4隅を止める
ポイント
1 ホチキスは縦か横に統一して止める(斜めにならない)
2 ホチキスの平らな部分がヘッドショット側、爪の部分がレジュメ側に来るように止める
ご精読ありがとうございました。