備えあれば憂いなし
8年前、アメリカに演劇留学しようと考えていた僕は、アルバイトの傍ら、英語の独学に励んでいました。
TOEFLの問題を解いたり、オンライン英会話をしたり、単語の例文をシャドーイングしたりと、限られた時間で最大限の英語学習をしているつもりでした。
しかし、いざ留学生活が始まると、英語力の拙さを痛感させられる毎日でした。
そして、その拙い英語力が、演技の勉強や、俳優としての活動の足枷になっていると感じることが何度もありました。
このような経験は、留学生なら誰もが通る道であり、乗り越えなければならない壁なのかもしれません。
しかし、留学できる期間は限られています。
その限られた時間の中で、最大限、本業である演劇に打ち込むことができたら、それに越したことはありません。
そのためには、留学する前から効率的に英語を学習し、渡米してすぐに演技の勉強、俳優としての活動に取り組むめる準備をしておくことが大切です。
そこで今回は、僕の考える「演劇留学に向けた実践的な英語学習法」を紹介し、解説していきたいと思います。
「演劇留学に向けた」と書いてありますが、英語を学んでいる全ての人にオススメできる学習方法なので、多くの方に読んでいただけたら幸いです。
目次
アメリカで俳優として活動するために必要な英語力
「演劇留学に向けた実践的な英語学習法」を考える前に、そもそも役者に必要とされる英語力とは何なのでしょうか?
ここでは、それについて簡単にまとめておきたいと思います。
英語でのコミュニケーション能力
まず俳優という職業に限らず、アメリカで活動する上で大切なのは、英語でのコミュニケーション能力です。
さらに言うと、このコミュニケーション能力の基礎は、リスニング力とスピーキング力です。
「相手の言っていることをきちんと理解すること」
「自分の意見を言葉にすること」
「時には冗談を交えて会話できること」
このようなコミュニケーション能力(リスニング力とスピーキング力)は、俳優として活動する上でも非常に大切です。
それでは、それ以外に、特に俳優に必要とされる英語力とは、いったい何なのでしょうか。
それは、リーディング力と発音・イントネーションです。
リーディング力
俳優にとってのリーディング力とは、台本を読み、理解する力です。
演劇学校では、毎週のように新しい戯曲を読まなければなりません。
またリハーサルの現場では、台本を渡されたその場で、初見の読み合わせが始まることもあります。
つまり、英語をスピーディーに読み解く力があるかどうかは、俳優にとって死活問題と言えるでしょう。
発音・イントネーション
日常会話では、多少不自然な発音・イントネーションであったとしても、聞き手が理解できれば問題ありません。
しかし、俳優は、セリフの1つ1つを観客にきちんと届けなければいけません。
そのためには、ネイティブと比べても遜色のない発音やイントネーションが要求されます。
いかにクリアで自然な英語を話せるようになるか、ノンネイティブの俳優にとって、これは永遠の課題とも言えるでしょう。
演劇留学に向けた実践的な英語学習法
以上のことを踏まえた上で、演劇留学をする俳優が、渡米前にやっておくべき英語学習をリストアップしてみます。
1 英語の戯曲(台本)を最低10冊読む
2 アメリカのドラマを毎日観る
3 発音記号とシラブルの学習
4 毎日30分以上のオンライン英会話
留学する1年前、遅くとも半年前から、これらに取り組んで欲しいと思います。
これらに取り組むことによって、英語に自信を持って渡米できるようになります。
そして現地での演技の勉強がさらに充実したものになり、役者としての活動の幅も広がるでしょう。
ここからは、それぞれ学習法について、その目的や取り組み方について具体的に解説していきます。
英語の戯曲を最低10冊読んでおく
目的:リーディング力の強化
英語の台本を読む力は、演劇学校でも、リハーサルの現場でも常に求められます。
留学前からたくさんの戯曲を英語で読んでおき、英語の文章や英語の台本の形式に慣れておくことが大切です。
また、たくさんの戯曲に触れておくことは、オーディションで使うモノローグを選ぶ際など、アメリカで俳優活動をする上で大きなプラスになります。
オススメ学習方法
1つの本を2回ずつ読む
1度目:内容を理解できなくても構わないので、辞書を引かず、最後まで読み切ります。
2度目:辞書を使いながら、内容を理解していきます。
ポイント
辞書を引く際は、「1ページ当たり2語まで」というような決まりを付けながら読むと良いでしょう。
全てを完璧に理解するのは難しいと思うので、最終的に80%程度理解できたらOKとしておきます。
大切なのは、英語の台本を読むことに慣れることです。
アメリカのドラマを毎日観る
目的:リスニング力の強化
アメリカのドラマを観ることはリスニング力を上げるために、とても効果的な学習方法です。
ドラマでは、かなり現実に近いトーンで英語が話されるため、日常生活の何気ない会話を聴き取るための良い訓練になります。
ドラマの英語をきちんと聴き取れたら、かなり高いリスニング力を持っていると言えるでしょう。
オススメ学習方法
Step1:まずは英語字幕なしで、全編通して観ます。
Step2:聴き取れなかった部分を、英語字幕なしで、何度も繰り返し聴きます。
Step3:それでも聴き取れない部分は、英語字幕を見て意味を理解します。必要ならば辞書も引きます。
Step4:意味が理解できたら、その英文を音読、もしくはシャドーイングします。
ポイント
リスニングの練習をするときは、できるだけ、字幕を見ないで聴き取るように心掛けましょう。
そうすることで、英語を音として捉えることができるようになり、リスニング力が鍛えられていきます。
発音記号・シラブルの学習
目的:発音・イントネーションの基礎固め
セリフを観客に届けなければならない俳優にとって、綺麗な発音、自然なイントネーションで話せるかどうかは、非常に大切です。
そして発音とイントネーションの基礎となるのが、発音記号とシラブルです。
留学前にこの発音記号とシラブルについて理解しておくと、現地で英語のセリフを読む際にとても役立ちます。
オススメ参考書・関連記事
アメリカ英語の発音の基礎とイントネーションを学ぶためにオススメの参考書
著者:Lisa Mojsin
出版:Barron's
発音記号を学ぶ
発音の基礎は、発音記号です。
発音記号を学ぶことで、アメリカ英語がどのような音(母音・子音)で成り立っているのか理解できるようになります。
そして、それら音を発音するための口の動かし方を習得することができます。
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なぜ発音記号について学ばなければならないのか きちんと習うことのない発音記号 皆さんが普段よく使う英和辞典、単語の隣に必ず書いてある発音記号。 あの発音記号は多くの場合、International P ...
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シラブルを理解する
英語のイントネーションの基礎となるのが、単語のシラブル(音節)です。
シラブルを理解することで、英語にリズムや音の強弱が生まれ、より自然なイントネーションが身に付いていきます。
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オンライン英会話毎日30分以上
目的:スピーキング力の強化、発音・イントーネーションの強化
オンライン英会話を活用することによって、留学前の段階で、英語でのコミュニケーションに慣れておきましょう。
また、綺麗な発音や自然なイントネーションは、英語をたくさん話すことによって身に付いていきます。
さらに、オンライン英会話を使って、自分の発音・イントネーションをネイティブにチェックしてもらうこともできます。
アメリカで俳優を目指すのであれば、できるだけアメリカ人との会話が必要です。
オススメのオンライン英会話サービス
【DMM英会話】
1回25分のレッスンが1日最大3回まで、毎日受講可能
スタンダードプラン
様々な国の講師(ノンネイティブ)とのレッスンが可能
料金(1日25分 × 週7回):6,480円/月
プラスネイティブプラン
スタンダードコースの講師に加え、ネイティブや日本人講師とのセッションも可能
料金(1日25分 × 週7回):15,800円/月
特徴
講師の質が高い
講師がしっかりとトレーニングされており、スムーズにレッスンを進めることができます。
教材の質も高く、種類も豊富
会話、ニュース、TOEFLなど、教材種類がとても豊富です。
また、1つ1つの教材の質も高く、学習を進めやすい構成になっています。
発音記号を学べる教材もあります。
【Cambly】
1日15分からレッスンを受講でき、最大で週5日の受講が可能
料金(1日30分 × 週5回):140ドル/月(14,615円/月)
特徴
講師は全てネイティブ
Camblyの講師陣は、全員ネイティブスピーカーです。アメリカ出身の講師も多数います。
予約不要
いつでも空き時間に気軽にレッスンをすることができます。
レッスン録画を使った復習
レッスン後にその動画を見直すことができます。
これにより、自分の弱点に気付いたり、うまく言えなかった部分、聴き取れなかった部分を復習したりすることができます。
個人的な意見
僕は現在両方のサービスを使っていますが、もしどちらかを選ばなければならないのであれば、DMM英会話を選択すると思います。
講師や教材の質と、毎日欠かさずレッスンを受けられるという点が魅力的ですね。
まとめ
アメリカで俳優として活動するために必要な英語力
英語でのコミュニケーション能力
→ 高いリスニング力とスピーキング力
リーディング力
→ 台本を読んで理解する力
発音とイントネーション
→ セリフを観客に届ける力
演劇留学に向けた実践的な英語学習法
1.英語の戯曲(台本)を最低10冊読んでおく
目的:リーディング力の強化、アメリカの台本の形式になれる
2.アメリカのドラマを観る
目的:リスニング力の強化
3.発音記号とシラブルの学習
目的:発音とイントネーションの基礎学習
4.毎日30分以上のオンライン英会話
目的:スピーキング力の強化、発音・イントネーションの強化
本日はここまでです。
ご精読ありがとうございました。