海外のニュースで英語を学ぼう
話題のニュースから英文を抜粋
このシリーズでは、話題のトピックに関するニュース記事から英文をピックアップし、そこに登場する単語や文法事項を学んでいきます。
また、英語を学ぶだけでなく、今話題となっているニュースに関する新しい情報や知見も紹介していきます。
今回は、IrisVisionというヘッドセット型の視力補助デバイスについて書かれた記事を扱ってみたいと思います。
VR技術がもたらす新たな社会、コロナウイルス下における眼の不自由な人の苦労など、いろいろな視座が得られる記事になっています。
盛り沢山の内容なので、前編と後編に分け、各3センテンスずつ英文をピックアップしています。
WordsとGrammarで解説
このシリーズでは、抜粋された英文を、WordsとGrammarに分けて解説しています。
特にGrammarでは、それらの英文を、文の構成要素ごとに色分けして解説しています。
主語(S)=黄色、動詞(V)=青色、目的語(O)=ピンク色、補語(C)=紫色、副詞・副詞句/節(M)=(括弧)
英文を読む際に、単語を繋げて何となく読み進めていないでしょうか?
文の構造が掴めていないと、自分では正しく理解していると思っていても、実際には意味を取り違えていることがあります。
そういった誤読を減らすために、このGrammarの項では、複雑な英文をその構成要素別に色分けし、その文章構造を把握しやすくしてあります。
もし、上で挙げた文の構成要素(主語、動詞など)があやふやな時は、こちらの記事を読んでみてください。
-
英語学習に必要な基礎知識(その3)英語の文型
文型は英語の基礎の基礎 英語の基礎力として必要なものとはいったい何なんだろうか。 アメリカで演劇を学び、生活して来たことを踏まえて考えてみると、いくつか必要な基礎知識が思い当たります。その内の1つが今 ...
続きを見る
目次
今日の英語ニュース
出典
The New York Times
"Technology Bridges the Gap to Better Sight"
Written by Janet Morrissey, July 14 2020
記事の概要
IrisVisionというヘッドセット型の視力補強装置が注目を集めています。
IrisVisionは、スマートホンとVRの機能を使い視力を補うヘッドセットで、すでに販売されており、コロナウイルスの影響で使用者がさらに増えています。
2年以内には、視力を補うだけでなく、眼の健康状態をチェックしたり、視力を測ったり、遠隔で治療を行なったりすることができるように、開発が進められています。
約30万円という値段や、大きくて見た目が良くないなど、普及させるためには、改善が必要とされています。
しかし、その開発に投資する会社や団体も多く、今後の改良、進化が期待されています。
英語学習センテンス
英文1 600万人を超えるアメリカ人が、眼に深刻な問題を抱えている
More than 6 million Americans have vision problems that cannot be corrected by glasses or contact lenses. Companies like IrisVision are creating headsets to help them see better.
Words
correct[kəˈrekt](他動):〜を直す、修正する
Grammar
⑴ More than 6 million Americans have vision problems《that cannot be corrected by glasses or contact lenses》.
S V O C (M)
✅《》内は関係代名詞節で、「vision problems」を修飾しています。
⑵ Companies like IrisVision are creating headsets《to help them see better》.
S V O C (M)
✅「to help〜」は、不定詞の形容詞的用法で、直前の「headsets」を修飾しています。
✅「help+人+V(原形)」で『(人)が〜するのを助ける』となります。
参考
IrisVisionは次のような症状の人に効果があるとのことです。
macular degeneration:黄斑変性症(網膜の黄斑という部分がダメージを受け視力の低下を起こす病気)
diabetic retinopathy:糖尿病網膜症(糖尿病によって網膜の血管に異常が起こり、網膜剥離などを起こす病気)
retinitis pigmentosa:網膜色素変性症(網膜の視細胞という部分が障害を起こし、視力の低下を起こす病気)
Stargardt disease:スターガルト病(網膜の遺伝性疾患。若年性の黄斑編成とも言われる。)
glaucoma:緑内障(視神経が異常を起こし、視野が狭くなる病気)
optic atrophy:視神経萎縮症(視神経が萎縮し、機能しなくなる病気)
英文2 視力の弱い人にとってのコロナウイルス
People with low vision rely heavily on touch and sound to identify objects and people, and this can be tough while following hand sanitizing and social distancing practices, and listening to people through masks.
Words
rely on 〜:〜に頼る、〜を拠り所とする
identify[ɑɪˈdentəfɑɪ](他動):〜を確認する、見分ける
tough[ˈtʌf](形):困難な、骨の折れる
practice[ˈpræktɪs](名):(社会の)慣し、慣習、実践
Grammar
People with low vision rely (heavily) on touch and sound (to identify objects and people), and this can be tough (while following hand sanitizing and social distancing practices, and listening to people through masks).
S V O C (M)
✅この文は、主語の違う2つの文が、「and」で繋がっています。
そして2つ目の文の主語である「this」は、1つ目の文全体(「People with low vision 〜 identify objects and people」)を指しています。
✅2つ目の文の()内「while following 〜」の主語は「people with low vision」です。
「while [people with low vision are] following 〜」と語句を補うと分かりやすくなります。
ポイント
このように、ある文中で、「while 〜」で導かれる副詞節の主語が、主節の主語と同じ場合は、その主語やbe動詞が省略されることがあります。
参考
IrisVisionの2020年6月の売り上げは、2019年の同月と比較して、50%も伸びているそうです。
英文3 開発のきっかけは、視力の弱い娘のために
While speaking at a Foundation Fighting Blindness conference, a board trustee, J. Lynn Dougan, approached him(Dr. Werblin), offering to provide funding if Dr. Werblin could invent a wearable device that could help his vision-impaired daughter.
Words
board[ˈbɔɚd](名):会議、評議会
trustee[trʌˈstiː](名):理事、評議員
impair[ɪmˈpeɚ](他動):(健康など)を害する、損なう
Grammar
(While speaking at a Foundation Fighting Blindness conference), a board trustee, J. Lynn Dougan, approached him(Dr. Werblin), (offering to provide funding if Dr. Werblin could invent a wearable device that could help his vision-impaired daughter).
S V O C (M)
✅ここでも先ほどと同様に、「while doing 〜, S V」の形が使われています。
「while doing 〜」で導かれる副詞節の主語は、基本的に主節の主語と一致するので、この文の「speaking」の主語は、「J. Lynn Dougan」と解釈できます。「while [Dougan was] speaking at 〜」と補うと分かりやすいでしょう。
✅「offering 〜」は、分詞構文です。
ここではシンプルに「and he offered 〜」と同じ意味として理解して良いでしょう。
参考
Dr. Werblinは、Mr. Douganの申し出を引き受けIrisVisionの開発に乗り出す際に、パートナーとして、コンピューターテクノロジーに詳しく、モバイルアプリの開発者でもあるAmmad Khanをチームに招聘しています。
ここで前編は終わりとなります。
この続きは後編で。
お疲れ様でした。
ご精読ありがとうございました。