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例文で学ぶ!話題のニュースで英語学習《在宅社員は監視されている?》

海外のニュースで英語を学ぼう

話題のニュースから英文を抜粋

このシリーズでは、話題のトピックに関するニュース記事から英文をピックアップし、そこに登場する単語文法事項を学んでいきます。

また、英語を学ぶだけでなく、今話題となっているニュースに関する新しい情報知見も紹介していきます。

 

今回は、新型コロナウイルスの発生によるリモートワークの増進によって需要が拡大している、在宅社員監視ソフトウェアについての記事から、4つほど英文を抜粋しました。

 

WordsとGrammarで解説

このシリーズでは、抜粋された英文を、WordsGrammarに分けて解説しています。

特にGrammarでは、それらの英文を、文の構成要素ごとに色分けして解説しています。

主語(S)=黄色、動詞(V)=青色、目的語(O)=ピンク色、補語(C)=紫色、副詞・副詞句/節(M)=(括弧)

こうして英文の構成を掴むと、誤読も減り、またしっかりとした文法力が身につきます。

もし、上で挙げた文の構成要素(主語、動詞など)があやふやな時は、こちらの記事を読んでみてください。

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 今日の英語ニュース

出典

The New York Times

"How My Boss Monitors Me While I Work From Home"

Written by Adam Satariano, May 7, 2020

記事全体の要旨

コロナウイルスによるパンデミックで、リモートワークが増える中で、多くの企業が注目しているソフトウェアがあります。

それが、在宅で仕事をする社員の、コンピューター上の行動などを逐一確認することのできるソフトウェアです。このソフトウェアを使うと、社員が開いたウェブサイトやその時間、またGPS位置情報などが、こと細かに会社に伝えられます。

会社側は、このソフトウェアを使い、在宅社員の仕事時間や生産性を担保しようとしています。

この記事では、The New York Timesの記者が、実際にHubstaffというソフトウェアをダウンロードし、編集者に自分を監視させた体験が書かれています。

このソフトウェアの効果や、問題点について、実際の体験を通して感じたことが、ありのままに書かれています。

 

英語学習センテンス

英文1 在宅社員を監視するソフトウェアの需要が急上昇

Demand has surged for software that can monitor employees, with programs tracking the words we type, snapping pictures with our computer cameras and giving our managers rankings of who is spending too much time on Facebook and not enough on Excel.

Words

surge[ˈsɚːdʒ](自動):(群衆、自然現象が)押し寄せる、急に上昇する

track[ˈtræk](他動):〜を追跡する

snap[ˈsnæp](他動):(写真)をパチリと撮る

ranking[ˈræŋkiŋ](名詞):格付け、序列

Grammar

Demand has surged for software《that can monitor employees, with programs tracking the words we type, snapping pictures with our computer cameras and giving our managers rankings of who is spending too much time on Facebook and not enough on Excel.》

S V O C (M)

とても長い一文ですが、実はとてもシンプルな文章です。

整理すると①「Demand for software has surged.(ソフトウェアの需要が急上昇している。)」となります。

では、なぜ語順が、入れ替わっているのでしょうか。

それは、この「software」を説明(修飾)するための語句《》がとても長く続くため、そのままの語順だと読者が読みづらくなってしまうからです。

①の文章で「software」と「has surged」の間に、 《》の文章が挿入されてしまうと、非常に分かりづらい文章になってしまいますね。

ポイント

このように、英語では、まず先に文章の格となる主語(S)、動詞(V)、目的語(O)、補語(C)を書き、その後で、意味を付け足す語句(副詞句/節、関係代名詞節や分詞句)を付け加えるという形が多く見られます。

次に、《》内の文章について見ていきましょう。

that can monitor employees, with programs tracking the words we type, snapping pictures with our computer cameras and giving our managers rankings of who is spending too much time on Facebook and not enough on Excel.

●「that can monitor employees」はthatをつかっった関係代名詞節で「software」を修飾しています。

●「with programs 〜」で、そのソフトウェアの機能を説明しています。

どのような機能なのかというと、「programs ①tracking 〜, ②snapping 〜 and ③giving 〜」の3種類の機能があることがわかります。

●「give+〈人〉+〈物〉」で『〈人〉に〈物〉を与える』という意味になります。

●「who is 〜」は、疑問詞を使った名詞節です。「誰がエクセルに充分時間を掛けず、Facebookに多くの時間を割いているか」と訳すことができます。

 

+ 訳例を見る

従業員を監視するソフトウェアの需要が急増しているが、そのソフトウェア(Hubstaff)には、タイプした文字を追跡したり、パソコンのカメラで写真を撮ったり、エクセルを充分にやらずFacebookに多くの時間を割いている従業員をランキングにして、上司に送るというような機能が備わっている。

 

参考

Hubstaffは、訪れたウェブサイトや、パソコン上で書いている書類のスクリーンショットを、数分ごとに撮る機能があり、それがそのまま、上司に送られるそうです。

また、このソフトウェアは、GPSで使用者の位置情報も確認できるそうです。これは主に、営業担当がクライアントのもとにきちんと出向いているかを、管理社が確認するためのものということです。

 

英文2 ウォール街の会社では、何年も前から使われてきたソフトウェア

I had heard of this type of tool being used by Wall Street firms for years, mainly in the name of security, with employees rarely having any say about how they were being watched.

Words

hear of 〜:(〜の存在、事実)を聞き及ぶ、聞いて知っている

firm[ˈfɝːm](名):(2人以上の合資で経営されている)会社

for years:何年も

in the name of 〜:〜の名目で

rarely[ˈreɚli](副詞):滅多に〜しない

have a say in 〜: 〜について発言の機会(発言権)がある

Grammar

I had heard of this type of tool 《being used by Wall Street firms for years, mainly in the name of security, with employees rarely having any say about how they were being watched.》

S V O C (M)

●「had heard of 〜」は、had + 動詞の過去分子形なので、過去完了です。訳は「〜について聞いたことがあった」となります。

●《》内の「being 〜 watched」は「this type of tool」について詳しく説明しているので、ひとまとめにして、意味を補完する形容詞句と考えることができます。

ここで《》内について見ていきましょう。

being used by wall Street firms for years, mainly in the name of security, with employees rarely having any say about how they were being watched.

●「being used 」と「being watched」は、どちらも「being」を取ってしまって、「this type of tool used by 〜」や「how they were watched」としても成り立ちます。

しかし、「being」を入れることで、進行形となり、「その時まさにそれが行われていた」という切迫感が文章に与えられます。

●「rarely having any say about 〜」 の「say」は名詞です。

少し形は違いますが、「have a say in 〜(〜について発言権がある)」という熟語をヒントに考えると、『〜について滅多に発言しない(発言の機会がない)』という訳で良いでしょう。

 

+ 訳例を見る

このような類のツールが、ウォール街の会社では長年、主にセキュリティという名目で使われており、社員は、彼らがどのように視られているのかということに関して滅多に発言することはないと、私は以前から聞き及んでいた。

 

参考

筆者は、このHubstaffを使用してみて、その効果として、仕事中に関係のない行動をしないようになったと述べています。

実際に、このソフトウェアを導入したある企業では、社員の生産性が上がったという事実も書かれています。

 

英文3 最高経営責任者も認める、Hubstaffソフトウェアの需要拡大

Dave Nevogt, a founder and the chief executive of Hubstaff, who gave me a free trial to test its subscription software, said work-from-home orders in the coronavirus outbreak had made employee-monitoring software a hot ticket.

Words

founder[ˈfaʊndɚː](名):創始者

the chief executive:最高経営責任者

subscription[səbˈskripʃən](名):購読契約、申込み、会費

order[ˈɔɚdɚː](名):命令、指令

outbreak[ˈɑʊtbreɪk](名):(突然の)発生、勃発

a hot ticket:とても人気な人や事物、非常に需要の高い物

Grammar

Dave Nevogt, {a founder and the chief executive of Hubstaff},《who gave me a free trial to test its subscription software》, said [that]work-from-home orders in the coronavirus outbreak had made employee-monitoring software a hot ticket.

S V O C (M)

●{}と《》は「Dave Nevogt」という人の説明ですね。

{}のようにカンマで同格(=)の意味を繋げたり、《》のように関係代名詞節を使ったり、名詞(固有名詞)を修飾(説明)する方法はいろいろとあります。

●この文章の目的格は、「said」に続く部分です。分かりやすいように、原文では省力されている「that」を補うと、「said that 〜」という形になり、『〜ということを言った』というように訳すことができます。

 

では、「that」の後ろのピンク色の部分を取り出して見てみましょう。

work-from-home orders 《in the coronavirus outbreak》 had made employee-monitoring software a hot ticket.

S V O C (M)

●「make+〇〇(目的語)+□□(補語)」で「〇〇を□□にする」という意味になります。

ちなみにこの「make+O(目的語)+C(補語)」のOとCの間には、O=Cという関係が成り立ちます。

この場合だと、「employee-monitoring software (O)」=「a hot ticket (C)」となります。

なので、 「make employee-monitoring software a hot ticket」で『従業員を監視するソフトウェアの需要を大きく増やす』という意味になります。

 

+ 訳例を見る

Hubstaffの創始者であり最高経営責任者のDave Nevogt、ちなみにこの申込み制のソフトウェアを無料で試す機会を、僕に与えてくれたのは彼なのだが、その彼が「コロナウイルスの発生による在宅ワーク令が、従業員を監視するソフトウェアの需要を大幅に拡大してきた」と述べた。

 

参考

このDave Nevogtによると、従業員は自分たちが見られていることを知っているため、このソフトウェアを使うことはプライバシーの侵害には当たらない、とのことです。

 

英文4 監視ソフトウェアが孕む危険性

The monitoring systems have few safeguards to prevent abuse, and they rely on managers exercising judgment and restraint.

Words

safeguard[ˈseɪfgɑrd](名):安全装置、防衛手段

abuse[əˈbjuːz](名):乱用、悪用

rely on 〜:〜に頼る、依存する

exercise[ˈeksɚsɑɪz](他動):(権力などを)行使する

judgement[ˈdʒʌdʒment](名):判断(すること)

restraint[rɪˈstreɪnt](名):抑制、制限すること

Grammar

The monitoring systems have few safeguards《to prevent abuse》, [and] they rely on managers《exercising judgment and restraint》.

S V O C (M)

●《》は下線部の名詞を修飾(説明)する語句です。

《to prevent abuse》は不定詞の形容詞的な使われ方で「safeguards」を修飾しています。《exercising judgement and retraint》では、動詞の現在分詞形「exercising 〜」が「managers」を修飾しています。

●「a few 〜」が『少しの、少量の〜』と訳されるのに対して、「few 〜」は『ほとんど〜ない』と訳されます。

 

+ 訳例を見る

そのモニタリングシステムは、乱用を防ぐための安全装置がほとんど無く、(使用の)判断や制限を管理者に依存している。

 

参考

筆者は最終的には、このソフトウェアを使い続けるのを止めました。

問題点として、筆者が指摘しているのは以下の通りです。

●電話など、コンピューターから離れて仕事している時間は、仕事しているとカウントされない。

●Hubstaffログアウトを忘れると、重要な個人情報がスクリーンショットされ、送られてしまう可能性がある。

●仕事に関係するページをや書類をコンピューター上で開いておけば、その場から離れて別のことをしていても、仕事をしていると思わせることができる。

 

今回は以上です。

ご精読ありがとうございます。

お疲れ様でした。

 

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