リスニングにコンプレックスがある人へ
英語の勉強をしているけど、なかなかリスニングが上達しない。
もっとちゃんと英語を聴き取れたら、ネイティブとのコミュニケーションの質が上がるのに。
これらのように感じたことはないでしょうか?
ほとんどの英語学習者は、多かれ少なかれリスニングにコンプレックスを感じていると思います。
そこで今回は、僕が思う『リスニング学習において大切なこと』、また僕が実践している『リスニングの具体的な学習方法』と『その効果』について紹介していきたいと思います。
僕自信まだまだ英語修行の身ですが、ニューヨークで7年以上生活し、日々英語に触れ、学習を続けてきた僕の視点から伝えられることがあると思い、この記事を書いています。
ちょっと長いので、興味のあるところだけ読んでもらっても構いません。
英語を学習する皆さんの参考、モチベーションアップにつながれば幸いです。
目次
リスニング学習に必要な3つの概念
まず初めに、リスニング学習をより効率的に進めるために必要な基礎知識を3つ紹介したいと思います。
これらは、英語のリスニング学習において、とても重要な概念であるにも関わらず、意外と疎かにされてしまいがちな項目です。それでは1つずつ見ていきましょう。
「発音」
英語の正しい発音を学ぶことは、英語をきちんと聴き取るために、とても大切なことです。
会話で相手が何を言っているのか聴き取るためには、話し手が使った単語1つ1つの正しい発音を、聞き手である自分が知らなければなりません。
では、単語の正しい発音を学ぶためには、どうしたら良いのか。
それには、まず発音記号について学び、英語で使われる音の作り方、発音方法を体系的に学ぶことが必要だと僕は考えています。
発音記号や、英語で使われる母音や子音について不安な人は、ぜひそこから学んでみてください。リスニング学習がより効果的に進むことは間違いありません。
発音記号(International Phonetic Alphabet)についてもっと詳しく知りたい人はこちらから。
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「英語のリズム」
英語を正確に聴き取るためには、「英語のリズム」に慣れることがとても大切です。
この「英語のリズム」とは、「音の高低や強弱」と言い換えることもできるでしょう。
例えば、日本語で「おはよう。」というと「お」「は」「よう」と、どの音も一定の強さと音程で読まれます。
これに対して、英語で「Good morning.」と言う場合、ピンク色の「mor[mɔɚ]」の部分が強く読まれ、その他の部分は弱く読まれます。人によっては「mor」しか発音してないんじゃないかと思うほど、この強弱は顕著です。
留学したての人がリスニングに苦労したり、ネイティブの英語に戸惑ってしまうのは、この「英語のリズム」に不慣れだからだと僕は考えています。
「英語のリズム」や、その基礎となる「Syllable(音節)」について学びたい方は、ぜひこちらの記事も読んでみてください。
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英語学習に必要な基礎知識(その2)シラブル(Syllables)
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「リンキング」
リンキングとは、英語が話される時に、連続する2つの単語の語尾と語頭が繋がり、音が変化する現象です。英語では、文章内で単語と単語を区切らずに発音するため、このような現象が頻繁に起こります。
ネイティブ早い英語を聴き取るためには、このリンキングに慣れていることが非常に大切です。
いくつか例を上げてみましょう。
deep end = depend(聞こえ方)
I like it. = I lie kit.
get up late = get a plate
参考:Barron's社『Mastering The American Accent』Lisa Mojin著
特徴としては、語尾の子音が次の語頭にくっ付き、まるで違う単語のように聞こえるということが言えるでしょう。
僕自信、まだまだリンキングについては勉強中です。
ただ勉強法としては、シャドーイングが効果的です。シャドーイングは集中して英語を聴き、同時にそれを声に出して発音しないといけないので、自然とリンキングに慣れていくことができます。
リスニング教材の選び方
字幕もしくはスクリプトがある教材で学習しよう!
リスニング教材はいろいろなところから探してくることができます。
Netflix、You Tube、TOEICなどの資格試験、参考書、、、リスニング学習に使える教材は無限にあります。自分の興味関心に応じて、教材を選ぶことがベストだと思います。
ただし、1つだけ留意して欲しいのは、自分が選んだ教材に正しい英語のスクリプト(字幕)がついているかどうかです。
リスニングをしていて、どうしても聴き取れなかった時に、なんと言っているのか確認できるものがないと、分からないままで終わってしまい、学習効果がほとんど無くなってしまいます。また、自分の聴き取りが正しいのか確認する際にも、スクリプトは必要です。
You Tubeに上がっている海外のニュースやテレビ番組に字幕を出すことができますが、You Tubeによって付けられている字幕は間違っていることが多々あります。なので、特に英語初級者の方が学習する際には、注意が必要です。
学びたい英語(訛り)が使われている教材を選ぼう!
英語は世界中で話されている言語です。そして、英語には話される地域(国)ごとに独特な発音の訛りがあります。
その中でも、日本人の英語学習者が出会う代表格は、イギリス英語、アメリカ英語、オーストラリア英語といったところでしょう。
この3つの英語の発音は、実は驚くほど違います。アメリカ英語に慣れている人は、イギリス英語やオーストラリア英語は非常に癖が強く、聴き取りづらく感じます。当然その逆もあるでしょう。
さて、ここからが本題です。
リスニング教材を選ぶ際には、自分の学びたい英語(訛り)が使われている教材を選ぶようにしましょう。
そうすることで、将来留学や海外で働きたいと考えている人は、それに直結した教材を選ぶことができます。
また、闇雲にいろいろな訛りの英語を聴くよりも、まずはどれか1つに絞って学習した方が、効果が上がりやすいでしょう。
シャドーイングとは
リスニング力をアップするために効果的な学習ステップを紹介する前に、「シャドーイング」について説明しておかないといけないと思います。
シャドーイングとは「英語を聴き取りながら、その内容を一言一句違わず声に出して言う」という学習方法です。
この学習方法は、リスニング力をアップさせるために、とても効果的です。またリスニング力だけでなく、語彙力や、スピーキング力を向上させるためにも効果的です。要するに、英語学習者にとって、避けては通れない学習方法、それが「シャドーイング」です。
シャドーイングの注意点
英語初級者で発音の基礎が無い場合は、シャドーイング学習は薦めません。間違った発音で、学習を続けてしまうと、それが癖となってしまうからです。
初心者の方にオススメの学習法はこちら↓↓
Step1 発音記号と英語で使われる音についてひと通り学習
Step2 英文の音読練習を重ねて、英語の発音に慣れる
Step3 シャドーイングにチャレンジ
シャドーイングのやり方
シャドーイングは英語字幕やスクリプトを見ながらやっても良いのか?
シャドーイングは英語字幕やスクリプトを見ずにやりましょう。
字幕やスクリプトを見ながらのシャドーイングは、視覚に頼ってしまうため、耳が鍛えられません。このやり方でも、スピーキング力や語彙力は向上すると思いますが、リスニング力は向上しづらいと僕は考えています。
しかし字幕やスクリプトを見ずに完璧にシャドーイングするためには、話された英語を完璧に聴き取れている必要があるため、英語上級者であっても非常に難しいです。
また、聴き取れたと思っていても、実際に字幕やスクリプトを見て確認すると間違っていたということもあります。
そこで、どうしても聴き取れない英語に出会った時、もしくは正しく聴き取れているか確認したい時のみ、字幕やスクリプトを見るようにしましょう。そして話されている内容を確認したら、その後は、何も見ずに音声のみ聴きながらシャドーイングをするようにしてみてください。
こうすることで、よりいっそうリスニング力が向上していくでしょう。
ネイティブの喋るスピードが速すぎて、シャドーイングできない。。。
音声の英語が速すぎて、どうしてもシャドーイングできない時は、字幕やスクリプトを見て、自分が発音できるスピードで音読練習をしましょう。
または、音声の再生スピードを落として、シャドーイングするのも良いでしょう。自分にとって無理のない速さで練習しましょう。
このように練習していくことで、少しづつ英語を喋る筋肉が作られていき、ネイティブのスピードに近づくことができるでしょう。
意味を追いながら、シャドーイングするのが難しい。。。
シャドーイングをしていると、英語を聴き取り、それを再現することに集中してしまい、意味まできちんと追えていないことがあります。
せっかく英語が聴き取れていても、その内容がきちんと把握できていなければ、最終的には意味がありません。
なので、意味もしっかり把握しながらシャドーイングできるようになるまで、何度も練習しましょう。
そのためには、分からない語彙や文法を調べたりもしないといけませんね。
難易度にもよりますが、例えばたった5分のスピーチでも、きちんとシャドーイングしようと思ったら、45分〜1時間くらい、もしくはそれ以上掛かることもあるでしょう。
音の高低・強弱やリンキングを意識してシャドーイングしよう!
シャドーイングするために音声に集中すると、話し手の喋り方の特徴が聴こえてきます。
特に注意して聴いて欲しいのは、音の高低や強弱、またリンキングによる音の変化です。これらは、英語を「聴く」ために、また「話す」ために、非常に重要なポイントです。
そして、シャドーイングでは、これらの特徴をできるだけ真似するようにしてみてください。真似することで、ネイティブのイントネーションや発音、リズムを自分の体を通して経験することができ、あなたの「聴く力」さらには「話す力」は、いっそう磨かれていきます。
リスニング力アップ!効果的な学習ステップ
全4ステップにそれぞれ目的があります。これら目的を意識して勉強することで、学習効果が上がります。
Step 1 まず音声を聴く
まずは教材の音声を聴いてみましょう。どれかくらい聴き取れるか、腕試しです!
ある程度英語力に自信がある人は、この段階でシャドーイングするのも良いでしょう。
初めての音声をシャドーイングしてみると、より明確に聴き取れない部分が浮き彫りになります。
Step 2 スクリプトを見ずに音声のみを繰り返し聴く
→ リスニング力の向上
聴き取れないところがあると、何と言ったのか気になりますよね?英語字幕・スクリプトでチェックしたくなると思います。しかし、その気持ちをグッと堪えて、もうあと2〜3回音声のみを聴いてみてください。すると、1回目には聴き取れなかった箇所が、聴き取れるようになることがあります!
このプロセスを踏むことで、耳が鍛えられ、リスニング力が飛躍的に向上します。スクリプトをすぐに見てしまうと、どうしても視覚に頼ってしまうので、リスニング力は向上しづらくなります。
Step 3 文章を読み、分からない単語を調べて理解する
→ 語彙力、文章構造を把握する力の向上
このステップで初めて、スクリプトを読みます。聴き取れなかった箇所、聴き間違いした箇所を丁寧に確認していきましょう。分からない単語や文法事項もここで確認し、文章全体の内容をきちんと理解します。このプロセスを踏むことで、語彙力、文法力、文章読解力が向上していきます。
Step 4 シャドーイングを何度もやる
→ 語彙、文法の定着
Step 3で理解した単語や文法事項を、繰り返しシャドーイングをすることで、自分の中に定着させていきます。
→ 速読力、速聴力の向上
実際の音源のスピードでシャドーイングをすることで、速読力、速聴力が鍛えられます。リンキングしている部分に注意することで、より一層リスニング力が向上するでしょう。
最初は難しいと思いますが、しっかりとやり込むと、スピーキング力も向上し、英語力全般の底上げにつながります。
まとめ
●リスニング上達に必要な3つの基礎
・発音 ・英語のリズム ・リンキング
●リスニング教材の選び方
・正しい字幕もしくはスクリプトがあり、分からない部分を確認できる教材を選ぼう。
・自分が学びたい英語(訛り)が使われている教材を選ぼう。
●シャドーイングを活用して、リスニング力を高めよう。
●リスニングの効果的な学習手順
Step 1 音声を聴く。
Step 2 スクリプトを見ずに、音声を繰り返し聴く。
Step 3 スクリプトを見て、単語や文法を確認する。
Step 4 シャドーイングを繰り返し行う。
これで以上になります。
ご精読ありがとうございました。