4年の道のり
僕は、2013年3月にアメリカに渡り、演劇学校に入学します。
2年間の学生生活を経てOPTを取得し、2016年の夏にアーティストとして活動できるO-1ステイタスを取得しましました。
留学準備期間を入れると、約4年ほど掛かって、アメリカで役者・ダンサーとして働けるステイタスを取得したことになります。
この記事では、僕自身がニューヨークの演劇学校への留学してからO-1ステイタスを取得するまでのプロセスを振り返りながら、学生ビザやO-1ステイタスを取得するために知っておくべき事項を解説していきます。
「アメリカで演劇を学びたいけれど、留学後にはどのような選択肢があるのだろうか?」
「そのままアメリカで役者として働くことは可能なのだろうか?」
この記事が、このような疑問を持つ方の参考になれば幸いです。
備考
O-1ステイタス:科学、芸術、教育、ビジネス、スポーツ、もしくは映画やテレビ業界で、特に優れた技能を持つ個人が、アメリカに滞在し就労するために必要なステイタス
✅アメリカでO-1ステイタスを取得した場合、そのままアメリカに滞在して就労することができます。
✅O-1ステイタスを取得後に日本に帰国した場合は、日本の大使館で面接を受けO-1ビザを取得しないと、アメリカに再入国することはできません。
この記事では、アメリカでO-1ステイタス取得するまでのプロセスを説明しています。
目次
演劇留学からO-1ステイタスを取得するまでの流れ
志望校に出願・学生ビザを取得
⇓
2年間の学校生活
⇓
OPTの1年間(O-1申請への本格的な準備)
⇓
O-1ステイタスの申請、取得
O-1ステイタスを取得するまでの4年間を、ざっと振り返るとこのような流れになります。
では、ここからは、それぞれの時期についてより詳しく見ていきます。
志望校に出願・学生ビザの取得
ニューヨークの演劇学校に出願
僕はニューヨーク市のWest VillageにあるHB Studioという演劇学校に出願しました。
将来的にO-1ステイタス(アーティストビザ)の取得に興味がある場合は、卒業後OPTを取得できる学校に留学することをオススメします。
OPT(Optional Practical Training): 最大12ヶ月のアメリカでの就労許可。
✅OPTを取得するためには、SEVP(The Student and Exchange Visitor Program) から認可された大学、短大、専門学校に少なくとも1年間フルタイムの学生として在籍することが必要です。
✅就労できる職種は、留学中に自分が専攻した学問領域に直接関連するものに限定されます。
HB Studioの場合、OPTを申請するには、フルタイムの学生として2年間在籍することが必要です。
志望校に合格
HB Studioに合格すると、合格通知と共にI-20という書類が送られてきました。
I-20:学生ビザの取得資格を証明する書類
学生ビザの申請と取得
I-20やその他の必要書類を揃え、アメリカ大使館でビザ面接を受けました。
実は、僕はこの面接の際に書類不備が原因で、1度学生ビザの取得を拒否されています。
その後、2度目の申請で無事取得することができましたが、とても焦りました。
ここでは詳しく書きませんが、皆さんはきちんと書類を揃えて申請してください!!
学生ビザ面接の注意ポイント
学生ビザでアメリカに渡り、そのままアメリカに不法で住みついてしまう可能性があると判断されれば、学生ビザは降りません。
そのため、申請者は日本との強い繋がりを証明する書類を提示し、留学後は日本に帰る意志があることを証明しなければいけません。
もし仮にOPTやアーティストビザの取得に興味があったとしても、学生ビザの面接では「将来アメリカで働きたい」とは言わないようにしましょう。
演劇学校での2年間
積極的にオーディションに挑戦
将来的に、アメリカでアーティストとして活動するためには、O-1ステイタスを取得しなければなりません。
O-1ステイタスを取得するためには、できるだけ多くのクレジットが必要です。
クレジット:アーティストとしての経歴(過去に出演した作品など)
僕は、役者兼ダンサーとしてクレジットを増やすために、HB Studio在学中から積極的にオーディションに参加しました。
ただし、在学中は学生ビザなので、オーディションに合格して作品に参加しても、基本的にはお給料をもらうことはできません。
学生の間にクレジットを増やしたい場合は、給与が支払われないアマチュアの劇団(コミュニティシアター)のオーディションを積極的に受けにいくと良いでしょう。
ちなみに
給与の支払われないプロダクションの作品であっても、クレジットとしてカウントすることができます。
日本での経歴もクレジットとしてカウントすることができます。
OPTの1年間(O-1申請への本格的な準備)
OPTの取得後の活動
OPTを取得することで、最大12ヶ月間、アーティストとして活動し、給与をもらうことができるようになります。
O-1ステイタス(アーティストビザ)の取得を希望する場合は、OPT期間中もしくはOPT終了後60日以内に、申請を行わなくてはいけません。
クレジットが少ない場合は、このOPT期間中に積極的にオーディションを受けにいき、できるだけ多くの作品に出演することが大切です。
僕は、役者・ダンサーとして、オフブロードウェイミュージカルやダンスのイベントなどを中心に活動していました。
弁護士を見つける
O-1ステイタスを申請するためには、弁護士を雇うことが必要です。
稀に弁護士を雇わず自分で申請をする人もいますが、膨大な資料を自分一人で英語で作成しなければなりません。
なので、英語力に相当自信がある人以外は、弁護士を雇うことが必須です。
OPTを取得したらすぐに弁護士を探し始めます。
弁護士の探し方
1 インターネットで調べ、カウンセリングの予約を取り、直接会いに行く
(多くの場合、初回カウンセリングにも費用が掛かります)
2 アーティストビザを取得した知人から情報を得る
弁護士費用について
相場としては3000ドル〜5000ドル程でしょうか。
しかし、これはあくまで僕の肌感覚によるものです。
弁護士によって費用は大きく異なります。
僕は知人から紹介された弁護士のカウンセリングを受け、印象が良かったので、そのまま依頼しました。
最終的に費用は5000ドル以上掛かってしまいましたが、結果としてO-1ステイタスを取得できたので、その仕事ぶりには満足しています。
スポンサーを見つける
O-1ステイタスを取得するために、必要なのがスポンサー(ペティショナー)です。
スポンサー:アメリカ滞在中の雇用主(アメリカでのあなたの生活を経済的に保証する人物、団体)
✅通常、俳優やダンサーの場合は、エージェンシー、劇団、ダンスカンパニーなどがスポンサーとなります。
僕の場合は、所属しているダンスカンパニーがあり、そのダンスカンパニーのディレクターに、スポンサーになってもらえないかと自分から打診してみました。
そのカンパニーは、過去にも所属ダンサーのアーティストビザのスポンサーになった経験があったので、快く引き受けてくれました。
O-1ステイタスの申請・取得
O-1ステイタスの申請
スポンサーも見つかり、クレジットも充分に増えたら、いよいよ申請です。
推薦書や今後出演する予定の舞台をリストアップした書類など、弁護士の指示に従い、申請に必要な書類を集めていきました。
多くの資料を集めて、ようやく申請が完了したのは、OPT期間が終わる数日前でした。
O-1ステイタス申請のための膨大な資料を準備するには時間がかかるので、弁護士が決まった段階から、少しずつ書類を集めを始めておくことをオススメします。
RFE(Request For Evidence)
O-1ステイタスの申請をして、しばらくしてRFE(Request For Evidence)の通知が届きました。
RFE:追加書類の提出を求める通知
✅申請時に提出した資料では、アーティストとしてのアメリカでの活動の必然性や意義が充分に証明されなかった場合に届きます。
このRFEには、どのような資料を追加で提出すべきかという指示が細かく書かれています。
この指示に従って、弁護士と相談しながら資料を集め、再度提出しました。
O-1ステイタス取得
このようなプロセスを経て、無事O-1ステイタスを取得することができました。
申請したのが5月で、取得できたのが9月だったので、申請後から結果が出るまで約4ヶ月掛かりました。
O-1ステイタスの取得には、その準備期間から結果が出るまで長い時間掛かります。
大切なことは、早めに取り組むことと、焦らず着実に資料を集めていくことです。
まとめ
O-1ステイタスを取得するための重要なポイント
志望校への出願・学生ビザ取得
✅留学先は、OPTを取得できる学校にする
✅学生ビザの面接では「アメリカで働きたい」とは言わない
演劇学校での2年間
✅在学中からオーディションにトライし、少しずつクレジットを増やしていく
OPTの1年間(O-1申請への本格的な準備)
✅積極的にオーディションを受け、クレジットを増やしていく
✅弁護士&スポンサーを見つける
O-1申請・取得
✅申請のための資料作成は、早めに始めておく
✅RFEが届いたら、その指示に従って追加の書類を提出する
✅焦らず着実に資料を集めていく
以上です。
ご精読ありがとうございました。