オーディションサイトを活用して、自分の可能性を引き出す
僕はニューヨークにある演劇学校の2年間プログラムを修了し、OPTを取得しました。
OPT:アメリカの学校を卒業後、1年間(もしくは半年間)だけ、自分が学んだ専門分野を活かした職業に就ける就労許可
OPTを取得した僕は「この1年で、できるだけ多くの舞台や作品に出演し、自分のキャリアを切り開いていきたい」と強く思いました。
そして、自分でオーディション情報サイトを調べたり、知人からアドバイスをもらったりしながら、チャンスがありそうなオーディションを受けに行きました。
当時の僕は、主にBACKSTAGEというサイトを使ってオーディション情報を探していました。
オーディションに関するサイトはたくさんあるにも関わらず、ほぼ、それしか使っていませんでした。
それでも運良く、俳優・ダンサーとして、何かしらの作品に参加させてもらうことができていました。
しかし、今になって振り返ると、当時からもっとしっかりオーディションサイトを活用していたら、別のチャンスに巡り合って、キャリアの幅も広がっていただろうと思います。
そこで、この記事では、ニューヨークで活動する俳優やダンサー・シンガーの方が知っておきたいオーディション情報サイトを紹介し、その活用方法についても解説していきます。
実際に僕も、下記で紹介しているオーディションサイトを使うようになって、より幅広いジャンルでチャンスを得られるようになりました。
この記事が、これからニューヨークで活動しようとしている、もしくはすでに活動しているアーティスト・パフォーマーの方にとって、役立つ情報となれば幸いです。
目次
オーディション情報の取得方法
ここでは、実際にニューヨークの俳優、ダンサー、シンガーたちはどうやってオーディション情報を得ているのかについて、まとめておきたいと思います。
これらをきちんと押さえた上で、できるだけオーディション情報が入りやすい環境に身の回りを整えておくことも、ニューヨークで活動する上で大切です。
自分でウェブサイトをチェック
一番シンプルな方法が、後半で紹介するオーディオション情報ウェブサイトを随時チェックすることです。
そこで気になるオーディションを見つけたら、オーディションの詳細をチェックし、自分のスケジュールに入れておきます。
ウェブサイトをチェックする時に気をつけたいのが、オーディションの分野を絞って検索するということです。
ニューヨークで開催されているオーディションは、無数にあります。それを全てチェックするというのは不可能です。
そこで、BACKSTAGEのようなオーディションサイトでは、自分のアーティストとしての情報(身長、体重、性別、人種など)や仕事の条件を保存しておき、それを元に検索結果を絞ることができます。
このような機能を使い、効率よく自分の受けたいオーディションを探していきましょう。
メールで自動的に取得
オーディション情報ウェブサイトでは、サイトに新しいオーディションがアップされると、自動的にEメールで通知が送られて来るというサービスがあります。
これだと、他のメールを確認するのと同時にオーディション情報もチェックできるので、とても便利です。
また、ウェブサイトをチェックする場合と同様に、あらかじめ条件を設定しておけば、それに合致するオーディション情報を受け取ることができます。
口コミで取得
これは、知人・友人からの連絡や、SNSでの情報共有です。
友人や知人もいろいろな情報を提供してくれます。
自分にあったオーディションを紹介してくれたり、プロダクションの詳細など一般には知られていない情報を提供してくれることもあります。
特に同業者の友人・知人とは、常に情報共有しておくことが大切ですね。
Facebook内に、オーディションの情報を共有するグループもあります。
このようなコミュニティでは、オーディションサイトには掲載されないような、緊急のキャスティングが行われていることもあります。
ニューヨークの舞台やオーディション関連のFBグループ:NYC THEATRE CHAT/ AUDITIONS & SHOW INFO
プロダクション側から連絡が来る
オーディションサイトを通じて連絡が来る
オーディションサイトに自分のアカウントを作り、そこにプロフィール、レジュメ、ヘッドショットなどを登録しておくと、プロダクション側(オーディションの主催者)からオーディションを受けて欲しいという連絡が来ます。
そのためオーディションサイトの自分のアカウントはしっかり作っておきたいものです。
プロフィールを作るに当たり、オススメのオーディションサイトについては、後半で紹介・解説しています。
インスタグラムなどSNSを通じて連絡が来る
SNSを通じて、プロダクションやキャスティングエーシェンシーから連絡が来ることもあります。
特にインスタグラムは、自分の素の写真や動画がアップされているので、CMやミュージックビデオなど映像系のプロダクションは特に参考にすることが多いようです。
僕はほとんどインスタグラムを使っていないのですが、ヘッドショットや自撮りの写真、ダンス関連の写真などを数枚上げているので、それを見たキャスティングディレクターがメッセージを送ってくることがあります。
こういったことも踏まえ、インスタグラムの自分のアカウントを整備しておくのも大切でしょう。
絶対に押さえておくべきオーディションサイト4選
ここで紹介するウェブサイトは、ニューヨークで活動する俳優、ダンサーやシンガーが、必ずといって良いほど使用しているオーディション情報サイトです。
それらのウェブサイトについて、僕が今までに使った経験を踏まえ、それぞれの特徴について具体的に述べていきます。
BACKSTAGE(有料)
月額 $19.95
年額 $149.95(年間登録)
特典
1 無制限にオーディションに申請できる
2 ヘッドショット、ビデオリール、レジュメなどを含めたプロフィールを作成できる
3 プロフィール用の写真や動画を無制限にアップできる
4 興味や条件に沿ったオーディション情報を表示、新着オディーション情報をEメールで送信できる
5 Talent Dashboardで自分の申し込んだオーディションや、招待されたオーディションを確認できる
BACKSTAGEのサイト上でオーディションを検索することは、無料で行えます。
しかし、オーディションの詳細を知りたい場合や、上記の特典を利用したい場合は、有料のメンバーシップに登録する必要があります。
BACKSTAGEの特徴
BACKSTAGEを知らない人はいない
ニューヨークで活動をしていてBACKSTAGEを知らないパフォーマーはいません。
それほど多くのパフォーマーやプロダクションに使用されている、大手のオーディション情報サイトです。
とにかく見やすい・使いやすい
BACKSTAGEのウェブサイトは、スタイリッシュなデザインで、情報がとても見やすくまとめられています。
また、写真、ビデオリールやレジュメ等の管理、オーディションの申請もとても簡単に行えます。
メッセージ機能が使いやすい
オーディションの招待など、このBACKSTAGEのメッセージ機能を通して送られてくることが多く、個人的には重宝していました。
プロダクション側(オーディションの主催者)との一連のやり取りをこのメッセージ機能で行えるのは、とても便利です。
BACKSTAGEのウェブサイトはこちら
Actors Access
無料アカウント
無料アカウントでできること
1 サイト上にプロフィールを作成し、ヘッドショット、レジュメ、特技、サイズカード*、エージェント情報を表示することが可能
2 写真(ヘッドショットや全身写真など)は2枚まで無料でアップロード可能
3 SlateShot(自己紹介用で7秒ほどの短いビデオリール)を1つのみ無料でアップロード可能
*サイズカードとは、身長や体重、服のサイズなどをまとめたものです。
無料アカウントで、プロフィールをカスタマイズする際の追加料金
3枚目以降の写真 | $10/枚 |
ビデオリール* | $22/分 |
オーディオリール* | $11/分 |
追加のSlateShot | $5/shot |
*ビデオリール(デモリール):カメラ前での演技の映像クリップ(複数の演技クリップ)を1〜2分でまとめたもの
*オーディオリール:声のみでの演技クリップ(複数の演技クリップ)を1〜2分でまとめたもの
無料アカウントでオーディションに申請する際の料金
申請 | $2/オーディション |
申請にビデオリールを添付 | $3/ビデオ |
Actors Access PLUS membership
年額 $68
特典
1 Actors Accessに掲載されているプロジェクトのオーディションに、無料で申し込むことができる
2 オーディションに申し込む際に必要なメディア(ヘッドショットやビデオリールなど)を、無料で添付することができる
3 Eco Cast(Actors Accessを通したセルフテープオーディション*)機能を無料で使用できる
*セルフテープオーディションとは、与えられた指示に従い、俳優が自ら撮影した映像をオンラインでプロダクション側に送るオーディション方法です。またEco Castでのオーディションは、プロダクション側から招待(Invitation)があった場合のみ利用可能です。
Actors Accessの特徴
多くの俳優に使用されているオーディション情報サイト
Actors Accessはとても有名で、多くの俳優、プロダクションやキャスティングエージェンシーに使用されています。
映像から舞台まで幅広いジャンルのプロジェクトをカバーしており、その質も良いと言われています。
ニューヨークで俳優として活動していると、必ずどこかのタイミングでActors Accessのアカウントが必要になるため、少なくとも無料アカウントは、早めに作っておくのがオススメです。
無料でプロフィールを作成できる
Actors Accessでは無料でアカウントを作成でき、そこに写真やサイズカードなど含めた自分のプロフィールを作成できます。
大手のオーディションウェブサイトにも関わらず、無料でプロフィールを作成できるサービスはとても貴重です。
比較的安価なActors Access PLUS
Actors Access PLUSは、BACKSTAGEや次に紹介するCASTING NETWORKSと比べると、安価な年会費でオーディションの申請などが行える点も特徴の1つと言えます。
Actors Accessのウェブサイトはこちら
CASTING NETWORKS(有料)
Basic Membership
年額 $25*
*Agent / Agency(代理人 / 代理会社)と契約している場合、Basic Membershipは無料になります。
特典
1 プロフィール用写真1枚アップロード無料
2 ビデオリール1つアップロード無料
3 レジュメやサイズカードのアップロード・更新が無料
4 CASTING NETWORKSウェブサイト上にプロフィールを作成できる
Premium Service
Photos Unlimited
月額 $8
年額 $80(年間登録)
プロフィール用の写真を無制限にアップロード、編集することができる
Casting Billboard Unlimited
月額 $11.95
年額 $119.50(年間登録)
1 CASTING NETWORKSに掲載されているプロダクションのオーディションに、無制限に申し込むことができる
2 プロフィールと連動し、自分に適切なオーディションをリストアップ
Media Hosting
月額 $7
年額 $70(年間登録)
1 ビデオリールを無制限にアップロードできる
2 アップロードしたビデオリールを、オーディションへ申し込む際に添付することができる
Premium Unlimited
月額 $23.95
年額 $239.50(年間登録)
Photo Unlimited、Casting Billboard Unlimited、Media Hostingの全てのサービスが使用可能
CASTING NETWORKSの特徴
映像系のオーディションが多い
掲載されているオーディションは、TVショー、コマーシャル、ウェブシリーズなど映像系のものが多いという印象です。
活用するためにはPremium Serviceが必要
Basic Membershipでは、ベーシックな自分のプロフィールを作成することしかできません。
そのプロフィールをカスタマイズし、自分からオーディションに申し込むためには、少なくともPhotos UnlimitedとCasting Billboard Unlimitedに入る必要があります。
CASTIBNG NETWORKSのウェブサイトはこちら
PLAYBILL(無料)
PLAYBILLは無料でオーディション情報をチェックできるウェブサイトです。
PLAYBILLを通して、オーディションの申し込みなどをすることはできません。
しかし、掲載されているオーディションのほとんどに、プロダクション側のウェブサイトや連絡先が記載されており、そこからオーディションの詳細の問合せ、申請などを行うことができます。
PLAYBILLの特徴
舞台系のオーディションが多い
PLAYBILLに掲載されているオーディションは、舞台関係のものやライブパフォーマンスが多いという印象です。
現在コロナの影響で、屋内でのライブパフォーマンスに制限がある中、屋外やリモートで行われる興味深いプロジェクトのオーディションが多く掲載されています。
PLAYBILLのウェブサイトはこちら
有料ウェブサイトはどれを選ぶべき??
ニューヨークで活動する上で、もちろん上記で解説した全ての有料サイトに登録するのが一番良いのですが、金銭面の問題もあると思います。
その場合、BACKSTAGE、Actors Access、CASTING NETWORKSのどれを選んだら良いのか悩むかもしれません。
そこで、僕なりの使用例を1つ紹介しておきます。
BACKSTAGEとActors Accessからスタート
まずActors Accessの無料アカウントは誰でも作れるので、作っておきます。
そしてBACKSTAGEの有料年間登録をしておきます。
ニューヨークでこれから活動をスタートさせたい、もしくは活動を始めたばかりの俳優、ダンサー、シンガーの方は、とりあえず、この2つを抑えておけば良いと思います。
もし余裕があったら、Actors Accessの有料年間登録もしておくとさらに良いでしょう。
BACKSTAGEとActors Accessの両方を有料登録すると、年間で約$220の出費となりますが、初期投資としては悪くないと思います。
この2つのサイト+PLAYBILLを使いながら活動してみて、 少し物足りないと感じたり、もっと映像系のオーディション情報が欲しいと思うようであれば、CASTING NETWORKSを使ってみても良いと思います。
いかがでしたでしょうか?
この記事が、これからニューヨークで活動をしたいと思っているアーティスト、パフォーマーの皆さんの参考になったなら、とても嬉しく思います。
ご精読ありがとうございました。